近畿・瀬戸内産地巡り 04
3週間弱に及ぶ、産地巡礼の旅路記録。前回に続き、今回は西脇へ足を進める。
岡山県 西脇 2017.2.11~13
山の裾野にある、Y字路の多い街並み。
眠たい。旅が始まってからその毎夜に日記をつけているのだが、今日はたくさんの方にお話を伺い、播州織で名高い西脇市内もかなり歩いたので、頭の中も両足もパンパンだ...。
まずはお昼前に、日本へそ公園駅が最寄りのコットンハウスへ向かった。ここでは「服は畑からできている?」というコンセプトを掲げて、様々な綿花を栽培するワークショップを開催しており、今回はシーズンオフの定例会にお邪魔させていただくことになる。
今期に収穫された洋綿花。
暖かく迎えてくださったスタッフの皆さんは、アパレルデザイナーやバイヤー、プロデューサーなど、普段は職種も活動拠点も様々。終始和気藹々とした雰囲気と共に、今アパレル業界への現状打破のような熱量も感じた。
お話を伺っていてハッとしたのは、地方の織工とプロジェクトを企画するなり商品を受注するにせよ、自身のブランドに理解を示してくれる工場を探すのが第一優先ということだ。産地の職人はプロダクト、伝統工芸の職人はアートへの見解が深い。繋がるにしてもお互いにwin winでないと意味がないという当たり前のことに気付かされた。
積もる埃も、ほんのりと薄桃だった織工。
甘口醤油のご当地ラーメンをご馳走になって、ご紹介で西脇の織工をいくつか見学することに。山間にある小円織物有限会社さんには、よろけ縞のために自社開発されたオリジナルの織機があるため、大手ブランドからの発注も多いそう。
織機の綜絖が踊るように動く。
ジャガード紋織機へ伸びる、オレンジのガイドの糸。
続いてジャガード織専門の遠孫織布株式会社さんへ。パンチカードが回転して、織り柄が写し取られてゆく様を初めて見ることができた。
今の川上産業はしわ寄せがきつくて元気がない、と、どの工場の方もおっしゃっていた。それらを立て直すべく、産地入りされた若手デザイナーや技師の今後の活躍も楽しみにしつつ、陰ながら応援してゆきたい。また、私自身も地域の産業とコネクトしたものづくりができればな、と構想を膨らます機会になった。
(西脇2日目)
統一感のあるショップ兼ファクトリー。
ホテルで朝食を済まし、一時間に一本の電車に乗って、アパレルブランド・tamaki niimeさんのショップへ。工場見学もさせていただくと、いままでの織工とは一転、見せることも意識した洗練された作業現場が広がっていた。ほぼ工場内で自己完結して製品を作るような体制を組んでおり、とてもスマートな印象だ。
力織機からレピア織機まで、まるで資料館のよう。
丸編み機。
緯糸をこまめに入れ替えるため、製品のカラーバリエーションも豊富だ。
化学染料のファブリックを最近見ていなかったので、鮮やかで瑞々しい色彩が眩しい。土着的な意識より、潔くシステマティックに、ストールや服地が織り上げられてゆく様を見て、ブランドのコンセプトの在り処は会社によって数あれど、それを貫くことこそが本当に大切だと再確認した。
迷い込むような小道に、ポツンとあるネオンサイン。
夕方過ぎにバスで京都入りし、久々に降り立った街という空間の、情報量と人の多さに驚く。やや旅疲れもあったが、夕食前に烏丸を散策。VOUというセレクトショップで、好みのzineや小物を見つけ眼福し、立て続けの産地巡礼旅から一息つくような夜になった。