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近畿・瀬戸内産地巡り 05

 

3週間弱に及ぶ、産地巡礼の旅路記録。前回に続き、今回は京都へ足を進める。

 

 

京都府 京都 2017.14~16

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京の台所、錦市場のイカ焼き。

京都の一泊目。ゆっくり起きて、念願だったギャラリー啓へ。

ガラス窓の近くに、苧麻でできた絣の着物があって、太陽光がその藍の色を透き通らす姿に「これだ」と見入ってしまった。今まで絹が、布の透過性をもっとも引き出せる素材だと思っていたので、靭皮繊維の麻がこの上品な光沢と、柔らかなコシを産み出せるのかと驚いた。

 

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午後は八幡染織で染工場のリアルな実態に触れることとなる。どこも後継者探しに手を焼いているそうで、自分の代で家業を閉めるやもしれないと話す、乾いた笑顔が心に刺さる。

 

近畿・瀬戸内産地巡り 04

 

3週間弱に及ぶ、産地巡礼の旅路記録。前回に続き、今回は西脇へ足を進める。

 

岡山県 西脇 2017.2.11~13

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山の裾野にある、Y字路の多い街並み。
眠たい。旅が始まってからその毎夜に日記をつけているのだが、今日はたくさんの方にお話を伺い、播州織で名高い西脇市内もかなり歩いたので、頭の中も両足もパンパンだ...。

まずはお昼前に、日本へそ公園駅が最寄りのコットンハウスへ向かった。ここでは「服は畑からできている?」というコンセプトを掲げて、様々な綿花を栽培するワークショップを開催しており、今回はシーズンオフの定例会にお邪魔させていただくことになる。 

f:id:tamakoyamada:20170407155623j:plain今期に収穫された洋綿花。

暖かく迎えてくださったスタッフの皆さんは、アパレルデザイナーやバイヤー、プロデューサーなど、普段は職種も活動拠点も様々。終始和気藹々とした雰囲気と共に、今アパレル業界への現状打破のような熱量も感じた。

お話を伺っていてハッとしたのは、地方の織工とプロジェクトを企画するなり商品を受注するにせよ、自身のブランドに理解を示してくれる工場を探すのが第一優先ということだ。産地の職人はプロダクト、伝統工芸の職人はアートへの見解が深い。繋がるにしてもお互いにwin winでないと意味がないという当たり前のことに気付かされた。

 

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積もる埃も、ほんのりと薄桃だった織工。

甘口醤油のご当地ラーメンをご馳走になって、ご紹介で西脇の織工をいくつか見学することに。山間にある小円織物有限会社さんには、よろけ縞のために自社開発されたオリジナルの織機があるため、大手ブランドからの発注も多いそう。

 

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 織機の綜絖が踊るように動く。

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ジャガード紋織機へ伸びる、オレンジのガイドの糸。

続いてジャガード織専門の遠孫織布株式会社さんへ。パンチカードが回転して、織り柄が写し取られてゆく様を初めて見ることができた。

今の川上産業はしわ寄せがきつくて元気がない、と、どの工場の方もおっしゃっていた。それらを立て直すべく、産地入りされた若手デザイナーや技師の今後の活躍も楽しみにしつつ、陰ながら応援してゆきたい。また、私自身も地域の産業とコネクトしたものづくりができればな、と構想を膨らます機会になった。

 

(西脇2日目)

 

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統一感のあるショップ兼ファクトリー。

ホテルで朝食を済まし、一時間に一本の電車に乗って、アパレルブランド・tamaki niimeさんのショップへ。工場見学もさせていただくと、いままでの織工とは一転、見せることも意識した洗練された作業現場が広がっていた。ほぼ工場内で自己完結して製品を作るような体制を組んでおり、とてもスマートな印象だ。

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力織機からレピア織機まで、まるで資料館のよう。

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丸編み機。

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緯糸をこまめに入れ替えるため、製品のカラーバリエーションも豊富だ。

化学染料のファブリックを最近見ていなかったので、鮮やかで瑞々しい色彩が眩しい。土着的な意識より、潔くシステマティックに、ストールや服地が織り上げられてゆく様を見て、ブランドのコンセプトの在り処は会社によって数あれど、それを貫くことこそが本当に大切だと再確認した。

 

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迷い込むような小道に、ポツンとあるネオンサイン。

夕方過ぎにバスで京都入りし、久々に降り立った街という空間の、情報量と人の多さに驚く。やや旅疲れもあったが、夕食前に烏丸を散策。VOUというセレクトショップで、好みのzineや小物を見つけ眼福し、立て続けの産地巡礼旅から一息つくような夜になった。

 

近畿・瀬戸内産地巡り 03

 

3週間弱に及ぶ、産地巡礼の旅路記録。前回に続き、今回は向島へ足を進める。

 

広島県 向島 -立花テキスタイル研究所 インターンシップ特集- 2017.2.6-10

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向島のフェリー乗り場。乗船料は100円、朝は通勤通学で賑わう。

今日は寒晴れ。ふっくら握られたおむすびと、お味噌汁の朝食に心も温まり、身支度を整えて出発。

尾道から向島に渡るフェリーは二航路あって、どちらも時刻表はアバウト。それもそのはず、5分と経たないうちに着いて、またすぐ戻ってしまうので拍子抜けする。到着してからインターンシップ先の新里さんに暖かく迎えられ、工房と綿花畑を見学しつつ向島観光をすることになった。 

車で高見山展望台まで登り、まずは向島全体を一望。こじんまりとした集落と、眼下の緑、その先に広がる瀬戸内海の碧に圧巻だ。その後、山腹のUSHIO CHOCOLATLでお土産を購入し、立花テキスタイル研究所と併設する帆布工場を見学。 

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工場内の糸縒り機。

分業化した産地は、行程を担う工場が一つ潰れてしまうと、全体が芋づる式に閉業に追い込まれることが多い。ここは、たまたま譲り受けていた機械が命綱となり、唯一生き残ることができたという。

 

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一帯を覆う綿花埃。

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外より冷え込む作業場で。

紡績工場に入ってすぐは、その老朽化と雪のように積もった埃の層に目がいくが、人の気配がない工場の、大きな織り機の奥からひとり、またひとりとご年配の職人さんが現れた直後、これらの尊さ、そして言葉にならない美しさを感じてハッとする。

機械にかかる糸の撚りを、パイプ椅子にジッと座って調整するおじいさん。

「こんな汚い職場だけど見てってね、あんたたちも、興味あればいつか来んさいな」と笑うおばあさん。

こういったあらゆる人々の勤労があって、都市での豪遊や消費が成り立つんだと思うと頭が上がらない。命だった綿花から、私たちが使うものができてゆく過程の音や光、それに携わる人たちの謙虚な姿勢が、目に焼き付いて離れなかった。

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 (インターンシップ2日目)

 

今日は朝から夕方まで、ひたすら糸巻き。

藍とヤマモモで染められた深緑の綛が絡まって仕方がなくって、どうしようもない!というほどだったが、巻き終わった玉を見て、自然の絶妙な色ムラが美しく、この工程をやり抜く価値を感じる。
私たちが作業をしている合間も、スタッフの方々は雑誌の取材や取引先との打ち合わせ、合間に染め作業などと動き回っていた。でも、忙しい中にどこかゆとりがあって、穏やかな空気が終始続いていたのが印象的だった。

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研究所の藍甕と染め場。

 


インターンシップ3日目)

 

出社後トラックで綿花畑へ向かい、残った綿を摘み取り、収穫を終えた幹を草木染め用に引き抜く作業をした。屋外だが体を動かすため、昨日よりは暖かい。自然相手で変化に富む畑仕事は、飽きがこなくて楽しいと再確認。将来小さな畑が欲しいな...二毛作で入れ替えもして...と呑気な妄想をしていたら、あっという間に昼になった。

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収穫した綿花。

 

午後は初日に綛にした糸を柿渋染めに。染め上がりを物干し竿にかける時の、美しさと快感はたまらない。ファブリックは洗濯時にたゆたう姿と、干されて風を含む瞬間が一番美しい。

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柿渋液に浸けた綛。日光に当てることで、色に深みが増す。 

 

 

インターンシップ4日目) 

 

昨日収穫した綿花の根っこの、泥を落とすところから始業した4日目。それらを沸かした井戸水に入れて1時間煮出し、濾して染液を抽出、その粗熱をとったところで綛を沈め20分浸染。ゆっくり冷ますと糸が綺麗な土色を吸い込んでいた。

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チップ状に細かくカットした綿花の根。

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煮物に味が染み込むように、ほんのり赤みのある土色が、糸へ染み込んでゆく。 

昼前に、ウォールナットのチップを譲り受けている木工家具屋さんを見学後、スタッフの皆さんとお好み焼き屋さんへ。染めなどを担当されている斎藤さんに、カンボジアのIKTTや栃木県にある紺屋の紺邑さんについてのお話を聞き、ぜひ訪れたいと胸高鳴った。学生のうちにどちらも、絶対に、行きたい。


インターンシップ最終日)

 

どっと疲れが出て、その日中に記録を書き留めたいのだが、思考が停止しそうだ。今日は朝から何をしたっけ...。

まずは柿渋染めした綛たちを、竿ごと朝日に当てに。ありがたいことに作業はだんだんと任せてもらえるようになって、柿渋の媒染をし、合間に藍染をし、最後はその灰汁抜きをし...いくつにも重なる作業時間をタイマーで測りながら、同時進行させていた。

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酸化させないように、そっと藍甕に手を入れて染める。

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灰汁を浸け、藍に浸し、乾かす。4回繰り返すうち濃紺に。

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叢雲絞り染めの出来上がり。

午後、引き続き作業をして、気がつくと就業時刻に。その後は立花テキスタイルのペンケースを購入したり、工房内を撮影したりしながら、後ろ髪を引かれる思いで研究所を後にした。

お世話になったインターンシップ先は素敵でしなやかな人たちばかりで、ただただ尊敬しきりの毎日だった。極寒の中での作業など、冷えが堪える私には限界だなと思う部分もあって、自身の将来の展望を見定め、焦点を絞る最高の機会を得ることができた。

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近畿・瀬戸内産地巡り 02

 

3週間弱に及ぶ、産地巡礼の旅路記録。前回に続き、今回は尾道へ足を進める。

 

 

広島県 尾道 2017.2.5

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千光寺から見た、向島の造船工場。

耳栓をして寝たら、眠りの浅い私が一番寝坊をしていた。小雨で冷え込んでいたため、今日は天気任せでゆったり過ごそう。

お昼前に出発、パン屋やマルシェでふらふら買い物をし、ここら一帯が一望できるという千光寺へ登る。曇っているから景色は期待していなかったが、霧で柔らかい色合いになった尾道と、対岸の向島を見渡すことができた。

 

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毎月第一日曜日開催のマルシェ『おのみち家族の台所』

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空き家再生ゲストハウス「あなごのねどこ」の奥にある、本屋兼CDショップ『紙片』

尾道では、市を挙げて移住者を支援する「尾道空き家再生プロジェクト」なるものがあるようだ。古民家をリノベーションしたセレクトショップや本屋を巡りながら、ここを拠点として移り住んだオーナーたちの、地場産業や風土の付加価値を伝えようとする熱い想いをふつふつと感じた。

夕食は地魚と地酒の美味しい居酒屋で、もう帰っても満足だなんて上機嫌な冗談を言いながらお腹と心を満たす。明日からは対岸の向島にある立花テキスタイル研究所で、5日間インターンシップ生として業務体験をさせて頂くことになっている。少し緊張もあるが、ワクワクとして楽しみだ。

 

近畿・瀬戸内産地巡り 01

 

今回の3週間弱に及ぶ旅の発起は、1月に八王子で開催されたシンポジウムの帰り道だった。

セコリ荘の宮浦さん・奥田染工の奥田さん・every denimの山脇さんが、テキスタイル産地に関することをお話しされていたが、知識が全くなくってわけがわからず、こうしてガストでくすぶっているのだったら実際に見に行ってみようということになった。

皆で渡れば怖くない、と、旅を共に企画した友に恵まれたこと、現地で数珠繋ぎに工場を紹介してくださった方々なしに成し得なかった今回の旅は、人の繋がりに溢れていたと思う。各方面への感謝を込めて、道中で書き留めた日記を記録に残したい。


岡山県 倉敷・児島
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児島駅前アーケード。連なるジーンズが圧巻。

旅のはじまりは、岡山イオンモールで携帯を忘れるというかなり幸先の良いスタートとなる。同伴者に多大な迷惑をかけながら、午後になって児島行きの電車に乗った。

足袋、学生服、そしてジーンズと時代のニーズに合わせて産業を変化させてきた職人の街。地元愛に満ちているオーナーたちは、自分たちが作ったものを手に取る私たちさえも愛おしそうに見つめ、優しく話しかけてくれた。

 

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ジーンズストリート。雨ざらしのジーンズがはためいてる。


一通り児島見学を終えたのち、頂に遊園地のある鷲羽山をレンタサイクルで越えて、瀬戸大橋のかかる下津井まで下った。吹上美術館で出会ったテキスタイル作家の田中さんは、武蔵美の教授のお知り合いだそうで、母校話に花が咲き、遠い地にいるのに帰ってきたような心地がした。

帰りは瀬戸内海の暮れ入る美しい姿に後ろ髪を引かれつつ、寒さに耐えながら今度は山を迂回するルートで帰路を急ぐ。ぐったりしながら、三度も来ることになるとは思わなかったイオンモールでご当地の豚丼を食い、夜、尾道へ向かった。 

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